その権限委譲は正しいですか?

リーダーやマネジャーにとって必要なタスクの一つである権限委譲について日頃思っていることを共有したい。

皆さんは過去にこういう経験がないだろうか?

ある日突然、上司からこんなことを言われる。

「今度の案件、君が自由にやっていいよ」

言われた方は「ああ、任されたんだな」とちょっと感慨深い思いをする。そのときは

実際にお客さんのところに行き、自分とお客さんの間ではやるべきことが大体固まり、いざ見積もりの段階になる。見積書はワークフローの関係上、上司の承認が必要となり、説明しに行く。そうすると、


「これ、リスク高いんじゃない?」「リスク積んだ見積もりにしないの?」「採算合わないんだったらやらない方がいい」「課の方針に合わない」などいろいろと口出してくる。アドバイスならまだ良い。若干威圧が含まれている。こっちとしてはお客さんとも合意が得られているし、リスクなんて致命的なもの以外は「やってみなければわからない、だから早く進めたい」という観点からフォーカスから外している。しかし、上司は納得しない。最終的には「課の運営方針に合わないからお断り見積もりで回答してこい」と命令される。いや待って、そうなるとお客さんの上司にも説明しなければ行けないし、上長同士で会話する場を設けた方が良いのでは?と思って進言すると、

「お前の案件だろ!お前から断ってこい!」

と怒鳴られる。完全に威圧である。

ここでようやく気がつく。「手足を動かすことだけ許されて、思い通りにならなかったら、思い通りになるまでやらせる」構図なんだなと…。

マネジメントに関する価値観の違いに圧倒される

最近、ネット上でいろいろなブログを見るようになって、その中でソフト開発プロセスに関する「日本的な考え方」と「欧米的な考え方」の違いを見て、自分の中で腑に落ちた感覚を味わった。一言で言えば、上司のやり方がソフト開発事業の分野にとって「オールドファッション」だったんだなと。
自分はもともとソフト開発は不確実性が多く含まれてるから、「なかなか予定通りに進まない」「検討よりも実践が大事だ」と思ってチームを運営していた。メンバーもそのやり方に賛同的で、チームの雰囲気も良好だった。
しかし、上司が絡んでくると話は別である。「今日の予定と実績のデータを出せ」やら「乖離があるからどうすべきか考えて対策しろ」など上司から要求され、チームにとって余計な負荷が増えてくる。顧客にとっての価値は1つも生み出さないタスクだ。
上司にとってAgilyな進め方は「場当たり的な仕事をしている」「良い加減なやり方」だと思っている節があり、時々私などに「もっとがっちりとした案件をやらないとダメだ」と、現在のやり方が「イレギュラーである」と暗に主張してくるのである。

マネジメントに関する価値観が全く異なるということがわかったのである。

自分が考える権限委譲とは?

実際に自分のチームのメンバーに対して実践していることであるが、まず大前提として、
メンバーを信じる
に尽きるのではないかと思う。信じるのは難しい。でも、部下だからといって子供のように扱うのは間違っていると思う。メンバーだって「自分で考えて行動する」筈なのである。そうでない場合は、そのような環境づくりをするのがリーダーの役割だと自分は思う。自分が一番心がけている姿勢は、自分の根本信条の一つになっている
「Don’t criticize, condemn, or complain.」
批判、非難、不満を言わない。メンバーが自律的に行動した事に対してはいつも奨励する姿勢が大事だと思う。結果が上手くいっていないのは行動した本人が一番わかっている筈で、時間に余裕を与えれば自然に改善のための工夫をするのである。
もし、工夫しないタイプだったら、たとえ指示を出しても工夫しないので、それなら指示するために費やすコストを考えたら、環境づくりに専念した方がよっぽどマシだと思う。
これからもメンバーが自ら創意工夫してパフォーマンスを出してもらえるように、環境づくりに専念したいと考えている。

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