依頼を断る時の悪魔の囁き
仕事をしている上で、色んなところから様々な依頼が飛んでくることがある。特に有能な中堅所の人材に対してありがちで、有能だからこそ周りは色んなことを頼みたくなる。しかし、最近思ったことだが、「何でも引き受ける」タイプの人は、周りからの期待値が上がれば上がるほど、その依頼を捌く限界を超えてしまい、すべてのものが中途半端になってしまうのではなかろうか?
従って、認められれば認められるほど「依頼を断る能力」が重要になってくると考えた。しかし、依頼を断る時に依頼した人から色々な反応が返ってくる。特に辛いのが、上司からの依頼を断る時だ。
自分で限界を決めるな
自分がかつての上司に言われた言葉である。この時自分は「やはりもっと頑張らなければ」と思った。上司にしてみれば良い叱咤激励の部類になるだろう。本人もそのつもりで煽ったのかもしれない。
すべてが中途半端になる
しかし、それから数年経って気がついたことは、「限界を自分で決めるな」と言われて手を出した分野について、自分が充分価値を提供できていたかが疑問に残ったままになってしまった。それよりも、「自分がやりたい」と思っていることに対する価値は、受け取った側も認めてくれているし、そっちの方が遥かにやりがいを感じた。これが本当にいけないことなのだろうか?
リスク回避の為の能力隠し
さらに不思議な現象として、組織の中には有能な人材が多いにも関わらず、中々見つからないことが多い。それはなぜか?特に日本の職場では「断る」ことがマイナス要因になってしまう事が多く、それが発展して「依頼されないように能力を隠す」ようになってしまう可能性が高いからだ。
依頼の断り方
では、依頼を断る時に囁かれる悪魔の反応に抗うためにはどうしたらよいか?
その手の書籍がいっぱいあるので、読んでみるのも一興だろう。自分が今までやってきて効果がある断り方は次のようなものである。
- 今自分がやっていることの重要性を伝える(だから他のことができないと納得してもらう)
- 他の人(そのトピックの専門家)を紹介する(自分がやるより効率が良い理由を伝える)
- 家庭の事情で時間が取れないことを伝える(これを無下にする人とは縁がなくても人生困らないと割り切る)
- 依頼を解消する(依頼内容によってはちょっとした思いつきだったりすることもある)
マイナス評価を恐れるな
依頼を断ることによってマイナス評価にならないかと心配することもあるだろう。特に依頼者が査定権限を持っている人ならなおさらだ。しかし、今のご時世、「断る能力」を正当に評価しない評価者は淘汰されるし、そうでなければ、その会社が「政治力優先」企業ということだ。よって、社内政治に没頭するか、別の職場を探すべきだ。一つの職場に従事して収入を得るという世の中でも無くなっているし、副業も容認される企業が増えている。人生のマネタイズは自分でしっかり考えたほうが良い。
自分がやれると思った依頼は全力投球
当然の事ながら、断る続けるだけだと、その内必要とされなくなるだろう。なので、自分がやれると思った依頼、自分が一番効率よくできる依頼は全力投球して価値を提供すべきだ。その時は常に「この依頼は自分にとって大変重要な事か?」を自問自答し、yesの時だけ全力を注ぐ。
忙しくない方が生産性が高い
日本でなかなか理解されない事だが、少なくとも海外に目を向けると、彼らは生産性を高めて短時間で成果を出している事例がたくさん出てくる。ネット上で検索かけるとすぐに出てくるぐらいだ。
知能労働は一日で注力できる時間が限られてくる。短時間で終わらせて、残りの時間を人生の有意義な時間に当てた方がまだ良い。能力を追求する人はそこで自己投資を欠かさずやるだろう。
時間を確保するということは、「本当にやるべきことだけやる」を徹底していく他にないと考える。その為にも、悪魔の囁きに抗い、上手く断る技術を磨き続ける事が重要になってくるだろう。